婚カチュ。


 
車で15分ほど走ったところにある高層マンションの20階でエレベーターを降りる。
電子キーで玄関を開けると、広瀬さんはわたしに向き直った。


「どうぞ」
 

今日の彼はメガネをかけておらず、ニットカーディガンにジーンズというカジュアルな格好をしている。

白い壁に覆われた明るい廊下を抜けていくと、広いリビングに行き着いた。
家具は必要最低限の物が置かれているだけだけれど、巨大なガラス窓から街並みを見下ろすことができた。


「すごい! 広瀬さんの部屋ですか」

「一応。そんなに広くないでしょ」
 

たしかに豪邸というほどではないけれど、一人暮らしには十分すぎる広さだ。
少なくともこのリビングにはわが家の居間が丸ごとふたつは入る。


「案内します。といっても、3部屋しかないんだけど」
 

そう言って彼はパソコンやらなにやらの機材が置かれた仕事部屋と大きめのベッドが置かれた寝室を見せてくれた。
最後の洋室は物置になっているらしく、ダンボールがいくつも重ねられている。

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