婚カチュ。
「コーヒー飲みますか」
「あ、はい」
白い大理石のキッチンカウンターでコーヒーを淹れてくれる広瀬さんはやたらと絵になった。ソファに座ってうっとり眺めていると、
「なんですか?」
「いや、かっこいいなと思って」
「そうですか」
彼は苦笑しながらソーサーにカップを並べている。
「ここ、気に入った? そんなに広くないけどペット可なんです」
「へえ」
差し出されたコーヒーを受け取って口をつける。
香ばしい匂いに包まれながら広瀬さんはきっとそのうち犬を飼うに違いないと思った。
「そういや、社長が将来、紫衣さんにフェリースを譲りたいって言ってたよ」
「へえ……ええっ!?」
コーヒーをこぼしそうになり、あわててローテーブルに置いた。
広瀬さんがくすくす笑いながらわたしのとなりに細い腰を沈める。いきなり縮まった距離に心臓が高鳴った。