銀髪姫と不良幹部
両親の前では泣いた事もない。


増してや、本音だって言った事がねぇ。


昔の私は自分を偽っていた。


あの時の私は、唯一空にぃの前でだけ本当の自分でいられたんだ。


両親に捨てられた事があり、“親”が怖かった。


そんなある日、私は狼鬼に出会い、そして…史音に出会った。


私はみんなに変えられたんだ。


だからここにはもう、“可哀想な依亜”はいねぇ。


「…やめる数日前、祖父が倒れてな。卒業してから行くはずの留学が早まったんだ」


そう、本当は卒業したら…って話だった。


だから私はこうやって狼鬼の総長でいられた。


留学をすると言う条件で…。


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