いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「りく…っ」

絞り出すように小さくその名を呼んだ瞬間、背にした扉を叩く音が響いた。

「!」

来てくれた――嬉々として扉を開けると、其処には伏し目がちに立ち尽くす陸の姿があった。

「陸…っ」

予想外の暗い面持ちに戸惑いを隠せずにいると、陸は黙ったまま半ば強引に部屋の中へ入ってきた。

陸がこんなことするなんて初めてのことで、少し怖い、と思ってしまった。

「陸…?どうした、の…」

恐る恐る話し掛けてみても、陸は俯いたまま返答してくれない。

「ねえ、陸…」

「あいつ、来たのか」

すると漸く陸が言葉を発した。

口調も心無しか乱暴で、少し苛立っているように聞こえた。

「陸…何か怒ってる…?」

「…さっき兄さんから聞いたよ。昨日香也が、晴と風弓の前に現れたって」

「!それは…」

陸に話しそびれた、昨日の出来事。

香也が、自分に逢いに来たと言っていたこと。
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