いとしいこどもたちに祝福を【後編】
ふと仄は陸の隣へ視線を移すと、京に向かって会釈した。

「陸の兄さん…だね、そっくりだからすぐ判るなー!まあ兄さんのが大人っぽいけど。どうも、連絡をくれて有難う。それに、うちの双子が世話になってます」

「京です、お逢い出来て良かった。こちらこそ炎夏では弟が大変お世話になりましたから、お互い様ですよ」

京も仄に向かって、丁寧に一礼する。

余談だが、京が抱いた仄への第一印象は「うちの父さんとちょっと似てるな…」だったらしい。

「――んで、さっきからそちらでだんまりしてるのは、うちの息子さんで間違いないかな?」

仄は大きく身体を傾けて、陸の後ろで棒立ちままの風弓の姿を覗き込んだ。

「母、ちゃん…」

すると風弓は、戸惑いと喜びと、少し申し訳なさそうな面持ちで母親の顔を見上げた。

「うっわ、一瞬眼鏡のない充かと思った。あたし譲りの気性の荒そうな面構えは相変わらずの癖に」

「…っはは」

そんな仄の軽口に、風弓も思わず緊張していた表情を崩した。

「本当、母ちゃんは変わんねえな。もうちょっとこう、感動の再会みたいになるかと思ったのによっ…」

「あたしにそんなもん期待しても無駄だよ、ふゆ」

仄は笑いながら風弓の頭をがしがしと撫でた……と思ったら、思い切り息子の頭を一発ひっぱたいた。

「いってぇっ!!」

「!?」

「仄さんっ?!風弓いちおう怪我人っ…」
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