いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「…いいから、お前は待ってなさい。それにまだ晴海ちゃんに顔を見せてないだろ?彼女、ずっとお前のことを待ってたんだよ。早く傍に行ってあげたほうがいい」

「っ……」

確かに、早く晴海に逢いたい。

周との話し合いを優先したのは、今の多忙な父とは話せる時間が限られているからだ。

今は晴海に逢いに行く時間が押してでも、父を行かせてはならない気がする。

兄だって解っているのではないのか。

「すぐに終わらせるよ。そしたら俺もすぐ行くから」

そう言った周の掌が優しく頭を撫でて、通り過ぎて行った。

「父さん……っ」

――陸は数分の間、茫然とその場に立ち尽くしていたが、ふと背後の扉を叩く音に振り向いた。

「りっくん!」

扉を開いた瞬間、現れた晴海に勢い良く抱き付かれる。

「晴…!それに、母さん」

「りっくん、どこいってたの?はる、さびしかったよ」

「陸が帰ってるって知ったら、すぐに探しに行くって言って走ってきたのよ」

愛梨の説明と先程の京の言葉に、陸は申し訳なくなって晴海の肩を抱き締めた。

「…ごめん、晴。俺のこと待っててくれたのに待たせちゃって」

「ううん。だってりっくん、おとうさんとだいじなおはなししてたんでしょ」
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