いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「…っ大丈夫、ただの立ち眩みだよ。やべーな、歳かな」

まだ四十路前なのに、なんてぼやきながら周は笑って見せるが。

『お前、顔色悪いぞ?』

つい最近、悠梨がそう周に忠告していた筈だ。

美月がいなくなり、まだ新しく就いた秘書官も仕事に慣れ切っていないこの時期に限って、厄介ごとは重なり仕事量は増えてきている。

逆に、減っていた筈の喫煙量は最近になってまた増えてきている。

その厄介ごとを増やす一端を、自分も図らずとも増やしている。

「……ねえ、父さん…」

「ん?」

嫌な、予感がする。

「…少しだけでも、休んだほうがいいんじゃないの?」

心配になってその顔をじっと見上げると、周は苦笑して首を振った。

「平気だよ。今のはちょっと気が緩んでただけだから」

「でも…」

「逢うだけも逢わなきゃ、何かと難癖を付けられそうだしな。京も一緒だし心配いらないよ」

勢い良く振り向くと、京も浮かない表情をしていた。

「兄さんっ」

兄からも父を止めて欲しくて、陸は縋るような視線で京を見つめる。
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