いとしいこどもたちに祝福を【後編】
渡された体温計で測定を始めると、陸はじっと男性の眼を覗き込んだ。

「?陸、どうかした?」

「………みつさん、さびしいの」

質問に質問で返され、男性は困ったように首を捻る。

「陸?」

「あのこ……はるに、あいたい?」

男性は問われた瞬間どきりとしたが、すぐに冷静さを取り戻して微笑んだ。

「そうだなあ…でも俺には風弓が傍にいるから、大丈夫だよ」

「ふうん…」

陸は納得したのか否か、少し不服そうに見える表情で俯いた。

「…陸、君は……」

「?」

「いや…何でもない。今日は他の子たちと一緒に、能力値の変動を測る検査があるから、力を沢山使うよ。大丈夫かな?」

男性の問いに、陸はこくりと頷いた。


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