いとしいこどもたちに祝福を【後編】
「霊奈は私から、愛梨と左眼を奪ったっ…!だから私は奴の大事な国ごと、愛梨を奪い返してやる!!その手始めに奴から愛する息子を奪い取ってやった…!!」

架々見は空いているほうの掌で左眼を押さえ付けながら、不気味な笑みを浮かべた。

「その上、陸は私の計画に好都合の稀有な能力の持ち主だ…全く、瞳の色以外は私の理想通りの子だよ…!!」

「そん、な…」

そんなことの、ために――

自身が持つ力のこと、容姿のこと、故郷のこと。

家族と引き離され、記憶を奪われた陸はそのことで苦悩し続けていた。

その元凶が、この男の下らない思惑のためだなんて。

父はこんな男のせいで、命を奪われたのか。

「ふざけんな、この変態野郎っ…!俺たちの親父を、使い捨てみたいに扱いやがってっ!!」

晴海の気持ちを代弁するかのように、風弓が架々見の手を払い除けながら声を荒げた。

「相変わらず口の減らない小僧だ。やはり父親同様さっさと殺しておくべきだったな」

架々見は冷やかな眼で風弓を見下ろすと、その横面を思い切り張り倒した。

「っく…!」

「風弓っ!!」

「お前たちにも父親の無様な死に様を見せてやりたかったよ。そうすれば減らず口も少しは治っただろうにな」

床に崩れた風弓に寄り添いながら、晴海は架々見を見上げて首を振った。

「やめて!貴方なんかの口から、父のことを聞きたくない!!」
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