いとしいこどもたちに祝福を【後編】
眼前の男に全身が震える程の恐怖と同時に、抑え切れない程の強烈な憤りを感じる。

すると架々見に突如顎を掴まれ、力任せに上を向かされた。

「っ!」

「姉ちゃん!!」

「架々見、その子から離れろ!!」

「何も取って食いやしないさ。だがお前たちが妙な真似でもしようものなら、手元が狂ってしまうやも知れんな」

その言葉に、身構えた陸と京は仕方なしに引き下がった。

「成程…可愛らしい娘だ。あの無能な炎夏のところの倅もお前に熱を上げていたそうだが、それも頷けるよ」

「貴方の、せいでっ …」

晴海は架々見に対して渦巻く感情を込めて、真っ直ぐ相手を睨み返した。

「威勢の良い眼だな。陸を取り戻すために此処まで来たか、健気なことだ…だが陸を返す訳にはいかない。あの子は私のものだからな」

「…!?」

愉快げに眼を細めてそう口走った架々見の言葉に、ぞわりと戦慄する。

「陸は、母親の愛梨に瓜二つだ…あの生意気な眼の色以外はな。そして陸の母親…愛梨は本来私のものになる筈だったのだ。あの忌々しい霊奈の若造さえ邪魔をしなければ…!」

「ふざけるな!!父さんはお前から母さんを守っただけだっ!!」

「黙れっ…!父親に似て小賢しい息子だ、愛梨から生まれた訳でもない癖に」

架々見は苛立ちを露に、勢い良く京を睨み付けた。

周とは浅からぬ因縁があるようだが、京の口振りからすると殆ど逆恨みに近いものを感じる。
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