溺愛†マドンナ
今や緋ノ戸君以外の全員の視線が、彼1人に集中している。


数秒間呼吸音さえ出すのも戸惑ってしまう程、重苦しい沈黙が流れる。


はよと剣君と柿出君の射ぬく様な視線に耐え続けていた緋ノ戸君が、とうとう喋り始めた。


「………覚えてたよ。高校の入学式で鎌……はよを見かけた時、すぐに分かった。アイツだって………ずっと分かってた」


緋ノ戸君の口から語られる事実に、言葉が出てこない。


チラリとはよを見てみると、瞳を潤ませ、唇をワナワナと震わせていた。


「……たら………て………」


「えっ?」


「だったらどうしてっ!!」
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