信愛
凌君との電話を終えてから1時間がたった頃、あたしは、トイレに行くために席を外した。

トイレから戻り席に着くと同時に、とし君があたしに話しかけてきた。

とし君「里緒菜ちゃん、あれ、うしろ。凌。」

里緒菜「え?!」

とし君の言葉にあたしは勢いよく振り向いた。

そこには、ロン毛をバッサリ切って、短髪になった凌君が笑って立っていた。

以前メールで凌君に『男のロン毛どーよ?好きか?』と聞かれたことがあった。

あたしは、速攻『男は短髪でしょ!短いのが好き』と答えた。

髪を切った凌君を見て、あたしの好み通りにしてくれたんだと、最高にうれしかった。

里緒菜「あ…」

凌君に声をかけようとしたら、凌君は何やら仕事仲間と一緒だったらしく、奥の小上がりにへと消えていった。

(なんだぁ、凌君、きたんだぁ。)

あたしは、嬉しくなって、また、ビールを飲み干した。

カウンターから凌君の様子がチラッと見える。

(やっぱり、髪切ったほうがカッコイイぢゃん。)

気になるけど、気にしていること凌君に悟られたくなくて、あたしは知らないふりをした。

やたらと、愛ちゃんと茉莉ちゃんと楽しんでみたりして。

あたし、素直じゃない。

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