極上の他人
そう、親ならば、子どもを愛することは自然の摂理。
疑う余地のないもの。
だけど、私が置かれた状況はそれとは真逆の寂しいものだった。
父親からも、母親からも愛されず、捨てられた私は、自分が生まれてきた意味すらわからず、とりあえず毎日をやり過ごしながら生きてきた。
それは、とてもつらく悲しいものだった。
小さな頃から抱えていたそんな苦しい想いを輝さんに吐き出して、止まらぬ涙を見せたあの夜、輝さんから言われた言葉が私の心に響いて忘れられない。
『自分で自分を幸せにしろ、寂しければ、自分で家族を増やせばいい。愛する人と結婚して、子どもを産んで、両親から与えてもらえなかった愛情を子供に与えればいいんじゃないのか?』
私の身体をぎゅっと抱きしめて、そう耳元に囁いた輝さんは、親だというだけで、誰もが子供を愛するわけじゃない、とも言った。
それは、私に押し付けるわけでもなく、輝さんの思いが全て正しいと言い聞かせるようなものでもなかったけれど。
『少なくとも俺だって、史郁の事を愛してるし、大切に思ってる。もう、その気持ちを隠すつもりもないし、待たない』
そう言って、私の気持ちを落ち着かせてくれた。