極上の他人


どれだけ強気な口調で「一人で幸せになる」などと言ってみても、そう思い至ってからの時間はわずかなもの。

自分で自分を納得させる為、そして勇気を奮い起こすために敢えて言葉にしている部分も多い。

口に出して自分に言い聞かせては、身体に染み込ませていく。

そんな自分はまだまだ弱くてだめだな、と思うけれど、少しずつでも強くなっていきたい。

『で、そんなに忙しい史郁は、店に顔を出す時間もないのか?』

「え?」

『俺が冷蔵庫に入れておいた夕飯もいいけど、俺の目の前で温かいご飯を食べて欲しいんだけど?』

「私も、行きたい、けど……」

『なら、いつでもおいで。カウンターの一番端の席は史郁のために空けておくよ』

「……でも」

私を気にかけてくれる輝さんの優しい言葉が嬉しくて、心が温かくなる。

輝さんは、私の食生活をかなり心配してくれて、お昼にもメールでちゃんと昼食をとったのかを尋ねてくれた。

私が病み上がりだというのも理由の一つだろうけれど、誠吾兄ちゃんに負けず劣らずの過保護ぶりに驚いてしまう。

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