極上の他人
「うん。この辺りじゃかなり有名な女子高だよ。虹が丘女子高校。偏差値も高いし美女揃いだって有名。お嬢様の学校っていうわけでもなくて、サラリーマン家庭の子も多いから話しやすくて合コン人気も高いって、聞いたことがある」
「へえ、虹女か」
私の地元とはかなり離れているこの辺りのことはよく知らなくて、虹女の名前も初めて聞いた。
セーラー服にローファーなんて、女子高生の定番だけど、真奈香ちゃんはとても似合っていた。
白い靴下なんて、いつから履いてないだろう。
「風間真奈香ちゃんか……」
「ん?」
私と同じように真奈香ちゃんが遠ざかる様子を見つめていた艶ちゃんは、何か考え込むようにそう言った。
重苦しい口調だと思うのは、気のせいかな。
普段の明るい艶ちゃんとは別人のように思えた。
「艶ちゃん?」
「え?あ、なんでもないよ、はは。ただ、若いっていいなあって思ってただけ。
女子高生なんて、高級チョコにも負けないほどのブランドだもん。いいなあ」
はははっと笑うその横顔が、何故か作り物のように見えた。
いつでも素直にあっけらかんと話し、人との付き合いにも心全開で向き合う艶ちゃんの姿とはかけ離れている。
……どうしたんだろう。