極上の他人
その日展示場での仕事を終えた私たちは、そのまま帰宅してもいいと部長から連絡があり、現地解散となった。
仕事を残している何人かは会社に戻ったけれど、私と艶ちゃんは駅に向かい、そのまま家に帰ることにした。
「どうする?夕食食べて帰る?」
駅のホームで電車を待ちながら、艶ちゃんが時計を見ながら呟いた。
18時を過ぎて帰宅ラッシュが始まっているせいか、混み合う中で話すのは結構大変だ。
私は艶ちゃんの耳元に顔を近づけて
「今日も輝さんからメールが来てたから、無理かも。あ、艶ちゃんも一緒に行く?『マカロン』」
「え?行きたい!でも、突然私が行ってもいいのかな。ふみちゃんの夕飯しか用意してないんじゃないの?」
「うーん。どうだろ。でも、もし私の分しかなくても、一緒に他のメニューを注文して分け合えばいいし。どうせ、艶ちゃんは食べるよりも飲む、でしょ?」
「もちろん!!私の主食はビールだからね。それにしても、マカロンに行けるなんてラッキーだよ」
艶ちゃんは感慨深げに呟いた。