極上の他人
「いつもふみちゃんに余裕ぶった態度を見せてるけどさ、毎日ふみちゃんをちゃんとここに連れてくるまでは心配なんだよ。輝さんだって、自分が多少の無理強いをしてる自覚はあるだろうしね」
「心配って……何を?私がここにちゃんと来るかどうか?」
「そう。ふみちゃんにしてみれば、毎日夕食を用意してもらえることが負担にも思えるだろうし、遠慮だってするだろうし。……だけど、今日は自分から友達を連れてくるって連絡くれたし、嬉しかったみたいだよ。ふみちゃんが一人じゃないから安心だとも言ってたかな」
「そ、そうなんだ……」
店内の喧騒の中で、お客様と話しながら笑顔を浮かべている輝さん。
その姿は普段見慣れているものと同じで、特に変わったところはないように思うけれど。
「ふみちゃんからのメールをもらってからの輝さん、口元がずっと上がってるんだよね。ほんと、わかりやすくて面白い」
「あ……そう言われてみれば」
バイトの男の子に何か指示を出している輝さんの笑顔は、いつもより大きいような気がする。