極上の他人
「この薬を飲みながら通院して、他の治療も受けてるんだけど、そろそろそれもやめようかなって旦那と相談してるんだ。最近、二人目を持てないことに罪悪感を感じる必要はないって思えるようになったから、無理をするのはやめようって」
ふふっと笑いながらの声は、落ち込んでいるようにも聞こえるけれど、どちらかというとそれを乗り越えたような強さも感じられた。
「葉乃にとっても妹や弟がいた方が寂しくなくていいし、私と旦那の両親もそれを望んでいるから、もう一人産みたいって思ってたんだけど、無理みたいなのよね〜」
「えっと、葉乃ちゃんが無事に生まれているのに、この先妊娠しないってことですか?」
「そうね。妊娠しづらいっていうのが正確かな。葉乃は奇跡的に生まれてくれたけど、本来の私の体ではなかなか子供は持てないの。……それを周りにはわかってもらえなくて、二人目を待ち望まれてつらいかな」
つらい、と呟く亜実さんは、普段見せない苦しげな表情で俯くと、薬袋を手で弄びながら言葉を続けた。