極上の他人
「二人目を妊娠できないことを理由に葉乃をないがしろにしていいわけじゃないのに、あの頃の私は、周囲からの期待に応えられない自分がだめな人間に思えていたの。
だめな人間だし……ばかな母親よね」
自分を責める言葉ばかりが亜実さんの口からこぼれるけれど、それは違う。
「亜実さんは、ばかな母親なんかじゃないですよ。二人目不妊に悩んで治療を続けているのは周囲の言葉に影響されてのことかもしれないけど、葉乃ちゃんがかわいくて大好きだから、そんなかわいい子供をもう一人、愛情を注げる子供が欲しいってことで……。裏返せば葉乃ちゃんを心から愛してるからだってことです」
亜実さんが傷つかないように、言葉を選びながら、ゆっくりと話す。
けれど、亜実さんの苦しみ全てを理解できるはずもない私に、果たして亜実さんの心を軽くすることができるのだろうか。