極上の他人
とはいっても、再婚相手や彼の娘である真奈香ちゃんと幸せそうに暮らしている様子を目の当たりにすると、悲しく切なくなる。
体の奥にしまいこんでいた重苦しい感情がじわじわとあふれ出て、ぐっと唇をかみしめたと同時に、輝さんの背中に回していた腕に力が入ってしまう。
そんな私の感情の動きに輝さんが気づかないわけもなく、私の顔を覗き込んだ。
「そうか。だったら、史郁が以前住んでいた家が売られた理由は知ってるか?」
「え?家が売られた理由?それは……」
輝さんの口から突然出た言葉に、私は戸惑い首を傾げた。
じいちゃんとばあちゃん、そして誠吾兄ちゃんと暮らしていた家が売られた理由。
「誠吾兄ちゃんは、自分は仕事で国内に限らず各地を転々とするし、私も将来結婚したらどこで暮らすことになるのかわからないから売ったって言っていたけど、違うの?」
誠吾兄ちゃんは確かにそう言って、「面倒なものは早めに手放した方がいいんだ」と笑っていたけれど、それは違うのだろうか?
私の答えに不機嫌そうな表情を見せる輝さんは、ちらりと視線を動かし真奈香ちゃんたち三人を睨んだ。