極上の他人
普段私に見せてくれる優しくて温かい輝さんとは全く違う冷たい表情に驚いたけれど、相変わらず私の体を包み込む腕の中は優しい。
その優しさに縋るように、私は輝さんの視線の先をたどり、お母さんを恐る恐る見た。
そして、醒めた目で私を見ているお母さんの視線に囚われ寒気を覚えた。
小さな頃、私を不要なものだと断言し、小さな優しさでさえ、そして微かな愛情でさえ返してくれなかったあの日と同じ冷めきった瞳に射られて。
「輝さん……」
私の体は小刻みに震えだした。
「史郁のお母さん……いや、今は真奈香ちゃんのお母さんだな。彼女が誠吾先輩に言ってあの家を売らせたんだ」
「売らせた?」