極上の他人


輝さんが私の気持ちを重く受け止めなければいいけど。

そう思いながらちらりと見ると、輝さんは車を発進させながら苦笑していた。

「あーあ、このお嬢さんはどこまで頑張るんだろうねえ」

「えっと……もうしばらく?」

「ふーん。もうしばらくなんてあてのない言葉で俺を待たせるなんて、大した女になったよな」

「お、怒ってる?」

「いいや。感動してる」

「は?」

「か、ん、ど、う。してる」

感動。

ってあっさりと言われても、理解できない。

私とすぐにでも結婚したいと言ってくれる輝さんの気持ちを拒み、仕事に重きを置いて日々を過ごしている私。

そんな私に怒りを覚えて嫌いになられても仕方がないと……それは嫌だけど……ひやひやしているのに、『感動』だなんて言葉、どうして出てくるんだろう。

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