極上の他人
自分を壊してしまうに違いない要因から目をそらそうとしても、私の体に根付いている負の感情が私を責めて、崩れてしまう。
そして、両親から捨てられたかわいそうな子だという、周囲からの同情に満ちた目を思い出して吐きそうになる。
両親に見捨てられたのは、私に責任があるからだ、と。
誰かに言われたわけではないのに、そして、客観的にみれば絶対にそんなことはないのに、そう思いこむ自分が嫌になる。
たとえ、両親が手を焼く子供だったとしても、まだまだ幼い子供。
両親がその子供を見捨てていい理由なんてあるわけないと、冷静になればわかるけれど、自分で自分を責め、洗脳されるように『かわいそうな子』と言われ続けてきたせいか、私の判断能力の何かが欠けている。
背中をぽんぽんと軽く叩いて、私を励ましてくれる輝さんは、しばらく何も言わずに考え込んでいた。
それでも、大きく呼吸をしたかと思うと。
「史郁の父親も再婚して、再婚相手の息子と一緒にカフェを経営してるんだ。かなりの人気店で、順調に客足も伸びて幸せらしい……誠吾先輩から、聞いてるか?」
私をさらに苦しめる言葉を投げかけた。
もう、聞きたくないし、やめてほしい。
それでも、輝さんは言葉を続ける。