極上の他人
涙が次から次へとあふれ出て止まらない。
熱くなった感情の矛先は輝さんに向けられて、その胸を何度も叩き、そこから抜けようともがき泣き叫ぶ。
「父さんも母さんも、私を捨てるくらいなら生まなきゃ良かったのに。どうして私が生きているのか、教えて欲しい」
もともと熱が高いせいか、感情の昂ぶりを抑えるなんてできなくて、一旦爆発してしまった気持ちを鎮める方法がわからない。
ひたすら興奮し、ぜいぜいと荒い呼吸を続けて輝さんにその度強い力で抱きしめられる。
「史郁、落ち着け。とにかく落ち着いて話そう」
「やだ、話すなんて無理、私、このまま消えてしまいたい」
「だめだ。消えるなんて許さない」
「輝さんには関係ない。私の人生になんの関わりもない」
輝さんの荒々しい口調に同調するかのように、私はきつい声で言い返した。