まんなかロックオン


「…それは別に、いいけど…」

いきなり、どうした。

一緒に練習しようなんて。どうしても昨日のことが思い出されて、戸惑ってしまう。


ダン、ダンとコウがドリブルするボールが、跳ねる。

そのままバッシュがキュっと鳴って、ゴールへ駆けていくのを私はじっと見ていた。

…足が床から離れて、身体が緩やかに沿るように、伸びる。

リングのすぐ近くまで伸ばされた手のひらからボールが離れ、瞬きをする暇もなく綺麗に、その中へボールが通っていった。

「…ナイッシュー」

やたらとフォームが綺麗なのが、悔しい。こちらへ振り返ったコウが、「へへ」といつもの顔ではにかんだ。

…気のせいだ、気のせい。


ボールを持つその姿から目が離せなかったなんて、そんなのは気のせいだ。


もやもやしながら、ドリブルをする。

ゴール下へ走って打ったランニングシュートは、ストンとボールをリングへ通していった。



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