まんなかロックオン
ふいにコウと目があって、にこりと微笑まれる。なんだかむっとして、「なに」と唇を尖らせた。
彼は「いや」と優しく笑うと、「じゃあ今度は」と言って、ゴールから離れたところへ移動した。そして、そこからシュートを打つ。
それは見事綺麗に弧を描いて、吸い込まれるようにリングへ入っていった。
…スリーポイント、余裕ですか。
「…めっちゃむかつく。そのドヤ顔」
一見穏やかな笑みをたたえているようなその表情が、実はドヤ顔であるということを見抜けるのは、多分幼なじみである私くらいだろう。
コウは「はは、バレたー?」と可愛らしく笑って、ゴール下に転がるボールを拾った。
…ムカつく。なにもかも。
私も負けじとスリーを打つが、残念ながら入らない。
「もーっ、悔しい!コウ、なんで入るの!」
「えー?」
睨んでも、コウは軽く笑い返して来るだけ。