旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 皆は驚いた顔で目を丸くして私を見た。

 言いたいことを言うと、スーと気持ちが楽になるにつれ自分がしてしまった失態に気がつく。

 やってしまった……。

 おずおずと再び正座をするが、誰一人として喋る者はおらず固まった表情で未だに私を見ている。

 まさか私がこんな事を大声で言うとは誰も想像しなかったのだろう。

 彼もまた驚いた顔で私を見ていた。

 消えてしまいたい……。

 俯いて膝に置いた手を眺めていると彼の長い手が私の手の上に重なってきた。

 彼を見ると、優しい顔で私を見ていた。

 すると彼は私の手を引き立ち上がる。

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