歩き出せ私たち
トモヤが、大したことじゃない、というときは、大したことあるときだって、知ってる。
好きな人に言われた言葉や行動は、嬉しいことも、苦しいことも忘れられないものだ。
どんなに時が経っても、ふと思い出す。
そして、それはトラウマになり、じわじわと心を蝕んでいくんだ。
「あいつらが付き合う前日に、アキナにコクったら、」
なんていう、弱い声だ。
「冗談やめてって、笑いながら一蹴されたっていう、ただそれだけ。」
笑顔だけど、全然うまく、笑えてない。
無理に泣くの我慢してるのは、一体どっち?
「馬鹿だろ?俺。」
そんなんじゃない。
「本気にしてもらえないなんて、分かってた筈なのに。」
なんでそう、強がるかな。
ほんとは、苦しいくせに。
「なぁ、お前もそう思うだろ?ミオ。」
こんなにも、自分と似てるトモヤのこと、馬鹿にできるはずがない。
こっちを見ながら、同意を求めようとする彼の、制服の襟を掴んで引き寄せる。
唯一、馬鹿だと思うのは、くそ真面目なとこと、あまりに他人思いなところだ。