歩き出せ私たち
トモヤの、柔らかい短髪がゆれる。
私の目がトモヤの間抜け面でいっぱいになったとき、自分が今、何をしでかしたか、やっと把握することができた。
無理矢理にぶつかり合う唇。
その感触を確かめる暇などなく、一瞬触れただけで唇が離れる。
少し、暖かかったというのだけは、伝わった。
私は、思ったよりずっと普通に、今の出来事を受け入れている。
でも、された方は当然そんなわけにもいかないだろう。
ぽかんと口を半開きにして、また私にアホ面を晒す。
そっか。
これがトモヤにとっては、ファーストキスってことになるのか。
それはもしかして、悪いことをしたかもしれない。
けど、真面目に謝ってあげる気なんか、毛頭ない。
うだうだとどうにも進まない不器用男の話を聞いてるのは、こっちももどかしかった。
もう、早いとこ、私達の関係にも決着をつける必要がある。
友達、という名前を、変えたいと思った。
このまま、こいつのこのあとの反応次第では、他人になるかもしれない。
はたまた、突然恋人同士になってしまう可能性だってある。
他人になれば、トモヤだって、もう私を気にすることなく、普通に、明るく楽しい高校生活を送ることができる。
逆に、恋人になれば・・・・
今より先に進めるような気がしたんだ。