北条くんの日常


俺は、手先が不器用な姉に替わって母親の料理を手伝ったり父親に厨房に連れて行かれていていた。

姉はきっとそれを悔しく思っていただろうに、俺が始めて作ったカレーを美味しそうに食べて、喜んでくれたのだ。


「やるじゃん、これすごく美味しいよ」


そう言ってカレーを二杯も食べた時の姉をみて、もっと色んな人の喜んだ顔をみたいと思うようになって、その手段として、料理が好きになった。



カレーを頬張る姉をみて久々にそんなことを思いだして、懐かしくなった。
< 53 / 96 >

この作品をシェア

pagetop