愛し*愛しの旦那サマ。
肝心の臣くんですが―…ご帰宅してから、まだ一言も発していません。
でもダイジョウブ。そろそろ、何か一言来る筈。
さぁ、今夜の第一声は??
ワクワクしながら、何時ものように臣くんが脱いだジャケット、ネクタイ、カバンを受け取る。すると、
「腹減った」
という臣くんのお声が!今夜の第一声は“腹減った”イタダキマシタ。
帰宅後、やっと聞けた第一声に感激しながら、ジャケットとか、臣くんから受け取ったものを丁寧にしまう。
脱ぎ立てのジャケット……臣くんの匂いがして、たまらない。香水とかつけていない筈なのに何でこんなにイイ匂いがするのか不思議でならない。
やっぱり顔がいいと、身体から放たれる匂いも素敵なんだろうか……と考えてみる。
でもここで考えてる暇はない。脱ぎたてのジャケットさんと離れがたいけど、お腹を空かせている臣くんに、早く夕食を出してあげなきゃいけない。
急いでキッチンに向かい、牛スジ肉の赤ワイン煮込みを暖め直す。冷蔵庫からサラダとパッションフルーツを取り出して、ダイニングテーブルに座る臣くんのもとへ。
すると、
「何、これ」
と、やっと探し出したパッションフルーツさんを見る臣くん。