愛し*愛しの旦那サマ。
お母さんの言ってた、そろそろ着くって……まさか―…
『もしもし~?幸代?誰が来たの?』
「だ、誰って……」
『あのね~、昨日、いきなり幸江が、お姉ちゃんトコに旅立つとか言い出してね~本当に午前中の便でそっちに行ったみたいなのよ~多分、そろそろ着いていい時間だと思うんだけど~気になって連絡するのに、あのコったら携帯充電切れてるみたいで~もう困っちゃうわよねぇ~…あ、ところで誰が来たの?早く出てあげなさいよ~』
それだけのんびりベラベラとしゃべっていながら早く出てあげなさいよ、って……
というか、モニターに映し出される映像にただただ唖然。
「―…たい」
『えっ、何?』
「そっちをいきなり旅立った人物が今、来たみたい。だから、心配ご無用」
『あら、そう?入学式も近いからそんなに長居はしないと思うんだけど……あっ、お父さん……ちょ』
『もしもし~幸代?父さんだけど~』
「―…知ってるけど、何?(サッキカラ二人デ、ゴソゴソト)」
『今度は何時、臣くんと帰ってくるんかえ~?美味しい焼酎を何本か手に入れたんやけど、臣くんは芋と麦やったら、どっちが……あ、母』
『幸代~?幸江にお土産はトーキョーばなナのキャラメル味がいいって伝えてほしいんだけど~普通のじゃなくてガオ~のやつね~』
「……」
父と母のせわしいやり取りに耳を傾けていると、
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーンッ―…
父母よりも数倍せわしいピンポン連打キタ。