愛し*愛しの旦那サマ。


「―…とりあえず、幸江には後で連絡するように伝えるから、いったん、切るよ」

『はいは~い。あ、トーキョーばなナちゃんと伝えてね、キャラメル味がぉ~』

じゃあね~、


と、言うと、後ろで何か訴えている父をスルーして母は電話を切った。


私も子機を置いて、ちらり、とモニターを見ると、今度は幸江の鼻がドアップ。(コノコハ、ナニヤッテンダ)

はぁ~っ、

と、溜め息をついて、通話ボタンを押す。


「あー、今開けるからちょと待ってー」

『ちょっと待てないから早くねー』

「……(ホント、コイツハ……)」


オートロックを解除し、重~い足取りで玄関に行き、ドアを開ける。


「……」


そこには肩出しの緩いニットにデニムショートパンツを合わせ、ギャルメイクをバッチリした実の妹が―…


「おねーちゃん、おひさー、おねーちゃんが会いたいと思ってるだろうから来ちゃったー」


超テキトーな棒読み挨拶頂きました……



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