愛し*愛しの旦那サマ。


「大丈夫?ちゃんと帰れる?どこかまで送ろうか?」

「だいじょーぶですー。もう十八歳なんだから、ちゃんと帰れるってーっ」

「じゃあ十八歳。今度はお風呂も就寝も一人でしてください」

「はいはーい」


そんな相変わらずな会話をしながら、幸江と一緒にエントランスアプローチへと歩いていく。


「じゃあ、本当に見送りはここまででいいのね?」

「いいって言ってるじゃーん。おねーちゃん、そんなにアタシと一緒に居たいワケー?」

「はいはい、わかりました。それでは、お気をつけて」


相も変わらずな幸江に、そんなお見送りのお言葉をかけてあげると、


「あ、おねーちゃん、これー」


キャリーケースとは別に持っていたショルダーバッグから、何やらごそごそと取り出す幸江―…


このコはまた何を考えているのか……


と、思って見ていると、


「昨日、たまたま友達とそーゆートコに行って来たから買ってきたー」

はい、


と、幸江が差し出すのは、白地に赤字の小さな紙の袋。


「え?」


いきなり、なぜ?


と、思いながらも、紙の袋の中のものを取り出すと、




―家内安全―


と、書かれた御守りが。



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