愛し*愛しの旦那サマ。

玄関へと急ぐと、

ガチャリ、

と、玄関ドアが開いて、そこには―…

何だか何時もよりも数段輝いて見える、ご帰宅ホヤホヤのスーツ姿の臣クン。


「お……」


おかえりなさい、という言葉と同時に瞬時に飛びついていきたいけど、直触れは何だか今の私には刺激が強すぎる気がして、とりあえず、


「臣くん……」


慣らしで臣くんを見詰めてみる私……

そんな私を、

帰宅早々何なんだ。

と、言わんばかりの表情で見る臣くん。(モット、見ツメテ……)


「……幸江ちゃん、帰ったの?」

「ハイ。午後の便で帰っていきました……」

「で、何でお前は涙目なの?」

「だ、だって……朝、まともに口を聞けなくて……」


離脱症状が……

と、幸代、心からの控えめな叫び……

そんな私に、


「毎回、大袈裟すぎなんだよ」


と、お決まりで冷たい視線の臣くん。

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