愛し*愛しの旦那サマ。
『そ、それはだな、幸代、色々と大人の事情が……』
「どんな事情よっ!大体、お母さんは結婚式に来たお父さんが飲み屋街に繰り出すなんて知ってるのっ!?」
『幸代っ、ちょっと落ち着いてくれっ……!最初から説明するとだな……』
つまり、簡潔に説明すると―…
本日の昼前。一泊二日の予定で坂井さんの娘さんの結婚式の為に、こっちに到着した父。
空港に到着し、数分後。父の携帯電話が鳴った。
着信相手は、
“会員制Club華蝶風月 チーママ鶴子 自称四十七歳”
用件は、というと。
長年勤めたClub華蝶風月を、一身上の都合で今月一杯で退職することになり、同時に夜も上がる事になったので、もし、こっちに来る機会があれば是非顔を出して欲しいという、
つまり、営業電話……
九州に戻る前まで、それこそ坂井さんと一緒によく訪れ、指名をしていたチーママ鶴子の夜世界のラストが近いということで、
『そうか~、実は今、こっちに用事があって出てきてるんだよ~。今夜も開いてるなら、そうだな~俺一人じゃ華がないから、イケメンでも連れて行くよ~』
つい軽く、そんな返事をしてしまったという我が父、貫一。