愛し*愛しの旦那サマ。
だ、大体ねぇ。
秘書藤枝、アンタ何でそんなに酔っ払っちゃったアピールの動きなワケっ?
側にいる男性が臣くんレベルの男じゃなかったら、絶対に普通に歩いて、さっさと自分の部屋に戻ってるでしょっ?!
お願いだから、酔ったフリしてボディタッチetc……な誘惑的な行為はやめてよぉ~…っ!
そんな願いと叫びと共に、下にいる臣くんと秘書藤枝の動向を見守る。
臣くんに向かって一礼する秘書藤枝―…
これは、きっとタクシー代ありがとうございますの一礼だろう。
顔を上げると同時に、ちょっとだけフラつく様子を見せる秘書藤枝―…
これは、私、酔っ払っちゃってますアピールのフラつきだろう。
肝心の臣くん―…
同じ事務所勤務の秘書の、そんな様子を見ても心配する素振りも見せず……
「……!」
幸代の待つマンションへと歩き出す……!
やった!
さすが、冷血漢、臣くんっ!
この調子なら、日付が変わるまで間に合うっ!
この際、言葉は何もいらないから、不安に駆られて衰弱した幸代を帰宅と同時に抱きしめてっ!