愛し*愛しの旦那サマ。


そんなへこんだ素振りを見せたって、臣くんを禁断の世界に進ませるワケにはいかないんだから!


と、いう思いを込めて、


「塚本、アンタ一般的にはモテ男の部類に入るんだから、似たような雰囲気の女性を探せばいいでしょ……」


塚本に女性との恋を勧める私。


「だから、こうして夜な夜な探し回ってるけど、実際、いないんだよ~それより、俺ってやっぱり対象外なのかな……」

「当たり前でしょ。対象外の外!」

「やっぱり諦めた方がいいのかなぁ……」

「さっさと諦めて下さいな!」

「でも、百合華さんみたいな女がいいんだよ……」

「百合じゃなくて薔薇でしょっ!」

「そうそういないんだけど~…百合華さん程の女……」

「そりゃあ、臣くん程の男は……」


って、

アレ??


「つ、塚本……アンタの長年の思い人って……」


ちらり、と、塚本を見ると、


「百合華さん……ホント、綺麗だよなぁ~」


百合華さん、百合華さん……


そう臣くんの実姉さまの名前を何度も呟きながら、ぼんやりと宙を見つめる姿が。


「……」


どうやら、私の大きな勘違いのようでした……


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