愛し*愛しの旦那サマ。

そして、


「あれ。幸代、もしかして寝ちゃったの?」


理沙子の声が聞こえたので、


ああ、理沙子さまもお戻りになったし、(塚本に)チェックしてもらって帰ろう……


顔を伏せたまま、そう心に誓う私。


「理沙子……だいぶ気持ちも落ち着いてきた気がするから、素直に帰るよ……」

「ふ~ん……ちゃんと落ち着いたの?」

「まぁ、だいぶ……よく考えれば、数時間前までの私は見えない力に翻弄されて心が正常じゃなかったと思うし……例え、限りなくゼロに近い例え話で臣くんが浮ついた気を起こしても、その事実に立ち向かえるくらいの鋼の心臓を育むように頑張るわ」


塚本の脅しや占いに負けない位の強い強い心を……


そう自分に言い聞かせるように、ブツブツ呟き終えると、


「限りなくゼロに近いも何も、そんな気、ゼロはゼロなんだよ」


……


何だか背後で聞き慣れた素敵な男性の声が。

ほんの一瞬だけ固まった後、


「!」


直ぐに顔を上げて、声の方へと振り返る私。


「随分と長い散歩だな」


そこには、会いたいけど会えない状況にいて、本当は凄く会いたかった臣くんの姿が―…

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