愛し*愛しの旦那サマ。
リビングに入り、そのままダイニングテーブルに着く。
目の前には、和で整えられた模範的な朝食。
並んだ朝食をぼんやりと眺めていると、
「昼食はオムライスを作ってるから温めて食べてね。夜はビーフシチューがお鍋に入ってるから、それも温めて~…あとポテトサラダが冷蔵庫に入ってるから忘れずに食べてね~」
身支度を整えながら、今日一日の俺の分の食事を説明する彼女。
そういえば今朝、やけに早い時間からベッドから起き上がっていたな、と、ぼんやりと思い出す。
別に古風な考えの持ち主でもない俺からすれば、予定があって出かける日くらいは、きっちり家事をこなさなくても気にしないのだが―…
「じゃあ、そろそろ出るね」
「車で送ろうか?」
「近くの美容室でヘアメイクしてもらってから、前の職場のコ達と式場に行くから大丈夫だよ~」
「ああ、それで髪と化粧が中途半端なワケだ」
何時もの癖で何となく出てしまった、そんな俺の言葉にも、
「今は中途半端でもプロの手で見違えるように美しくしてもらう予定だから大丈夫だよ~っていうか、臣くん、帰宅した私を見たら別人と思っちゃわないか心配……」
「ふーん。最近の美容室は美容整形までしてくれるの?」
「もぉ~ちょっと大げさに言ってみただけじゃん~冗談だよ~」
「こっちも冗談だけど」
「やっぱり?私たち気が合うネ」
「……」
悄然とする様子もなく、笑顔で返してくる彼女。