愛し*愛しの旦那サマ。

ダイニングチェアに掛けたまま、彼女の温もりを数秒感じていると、彼女もまた、俺の背中に手をまわしてゆっくりと力を込めた。


「……鈴木主任の晴れ舞台をお祝いしながら、私たちの挙式に向けて脳内リハーサルしとくね」

「余計な脳内リハはいらないから、普通に集中して祝ってこいよ」

「大丈夫。それはちゃんと全力でお祝いしてくるから」


両腕でしっかりと彼女を包んだままの状態で、そんな会話を交わした後、


「気をつけて行ってこいよ」

「うん」


そっと、彼女の身体を解放する。そして、俺の腕が解けた彼女は、


「じゃあ、行ってくるね」


という言葉と共に柔らかな笑顔を見せると、ドアを開けてリビングを出て行った。


日曜の朝。

一人残された部屋には、彼女のつけていたフレグランスの香りがほのかに残る。


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