愛し*愛しの旦那サマ。
『あれ?何で臣が出るの~?』
受話器越しに聞こえるのは予想通り、中学時代からの付き合いになる塚本潤の声。
「……自分の家の電話に出ただけだろ」
『いや、俺が家に架けて、臣が出るのって珍しいからさ。幸代ちゃんは~?』
「結婚式だよ」
『へぇ~って、臣達の挙式って今日だっけ?』
「……挙式が今日だったら俺も家にいないだろ」
『あはは~それもそうだな~』
塚本の軽い口調は昔から変わりがない。
「幸代の前職場の上司だった人の結婚式に行ってるんだよ」
とりあえず、そう説明してやると、
『そっか、そっかぁ。じゃあ、臣は愛する妻が不在で寂しい休日を過ごしているってわけだな。早速、そんな櫻井クンに―…』
良い時間潰しになるお誘いがあるんだけど~…
と、塚本が言い出す。
また何を言い出すのか、とも思うが、どんな類の誘いかなんて、すぐに検討がつく。