愛し*愛しの旦那サマ。
そして、
『今年の夏が終わってしまう前に海に繰り出そうぜ~お前とだったら水着ギャルがわんさか寄ってきそうだし~』
と、想定内の言葉を言い出す塚本。
「……この残暑の中、誰が行くかよ。行くなら一人で行け」
『冷たいなぁ~、じゃあ、方向性を変えて一緒にランチでもどう?』
「幸代が作った昼飯があるからいい」
俺が断ると知っていても懲りずに、この類の誘いをしてくる塚本だが、
口では大概、女と遊びたがるような発言をしているようで、本心はまた違うという、一癖ある男。
まぁ、別にその辺の問題に口を出す気なんてさらさらないが―…
『それじゃあさ、適当に弁当買って櫻井家におじゃまするからさ~、遊ぼ~』
「……」
言葉を返さず、黙って受話器を持つ俺に、“遊ぼ~”という言葉を連呼する塚本。
それにしても、小学生のノリな誘いだな。
まぁ、塚本のこういった感じの言動は今に始まったことではないし、今日この後の時間は特に予定があるわけでもない。
『臣が好みそうなDVDも借りていくからさぁ、一人身で寂しい俺と遊んでよ~』
そう、粘る塚本に、
「……あまり長居はしすぎるなよ」
と、溜め息混じりに伝える。