愛し*愛しの旦那サマ。


それからは―…


「……っ」


自分の足が自然と彼女へと進み、


「お、臣くん……?」


色々と考えるよりも、何よりも先に俺は彼女の腕を掴んでいた。


「帰るぞ」


それだけ言うと、彼女の腕を掴んだままの状態で、その場を後にする。

そんな行動を取った自分を周りの奴らがどんな風に見ていたのかは知らない。

知らないし、それはどうでもいい。


ただ単純に、彼女を連れて帰りたかった。


そんな衝動に駆られたからだ。


しばらく無言で彼女の腕を握ったまま歩くと、


「臣くんっ、臣くんっ……」


慌てて俺の名前を呼ぶ彼女の声が聞こえた。

それと同時に俺は、やっと彼女の腕を離す。


「何?」

「ご、ごめん……急に歩いたらちょっと気分が……」


息を切らしながら、そう訴える彼女。

そんな彼女を見て、


「乗るぞ」


と、丁度止まっていた空車のタクシーに乗り込む。


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