愛し*愛しの旦那サマ。
もし、あの時。
彼女の携帯が鳴らなければ、俺はあのまま彼女の頬に触れ―…
その先のことを考えると、
「―…」
一つ。
深い溜め息が零れる。
彼女と知り合って一年半目にしてやっと、あんな形で自覚した自分にただただ呆れるしかない。
一歩一歩、足を自分のマンションへ進める度に、彼女から遠ざかっていく。
そんな状況で心を占めるのは、今だかつて感じたことの無い感情だった。
そして、休み明けの仕事帰り―…
「臣く~ん!」
自分の名前を呼ぶ聞き慣れた声に、俺は素直に足を止めた。