愛し*愛しの旦那サマ。


「調味料、大体、揃ってると思うから適当に使って」

「あ、うん……臣くん、ちゃんと料理するんだ?」

「まぁ、ごくたまに」


そんな会話をしながら、料理を始めた彼女をカウンター越しに見ていると、


「何だか、緊張します……」

「そう?」

「臣くんに見つめられるのは嬉しいけど、今は悔しいことに緊張が上回ってます……」

「……」


彼女がそう言うので、仕方なくカウンターから離れ、ソファーへと向かう。

ジャケットを脱ぎ、観たい番組もないが、とりあえずテレビの電源をオンにした。


ふと、キッチンに視線をやると、彼女の表情は、だいぶ普段と近い表情になっていて、ここからだと手元まではよく見えないが、手馴れた様子は何となく伝わってくる。

それから俺は、ソファーにもたれかかりながら、彼女がボンゴレを作る姿を、ただ、ぼんやりと眺めていた。




そして、数十分後、


「臣くん、出来たよ~」


キッチンから完成を知らせる彼女の声。


< 449 / 498 >

この作品をシェア

pagetop