愛し*愛しの旦那サマ。
「調味料、大体、揃ってると思うから適当に使って」
「あ、うん……臣くん、ちゃんと料理するんだ?」
「まぁ、ごくたまに」
そんな会話をしながら、料理を始めた彼女をカウンター越しに見ていると、
「何だか、緊張します……」
「そう?」
「臣くんに見つめられるのは嬉しいけど、今は悔しいことに緊張が上回ってます……」
「……」
彼女がそう言うので、仕方なくカウンターから離れ、ソファーへと向かう。
ジャケットを脱ぎ、観たい番組もないが、とりあえずテレビの電源をオンにした。
ふと、キッチンに視線をやると、彼女の表情は、だいぶ普段と近い表情になっていて、ここからだと手元まではよく見えないが、手馴れた様子は何となく伝わってくる。
それから俺は、ソファーにもたれかかりながら、彼女がボンゴレを作る姿を、ただ、ぼんやりと眺めていた。
そして、数十分後、
「臣くん、出来たよ~」
キッチンから完成を知らせる彼女の声。