愛し*愛しの旦那サマ。
また少し、緊張した面持ちになる彼女。
すると、
「臣くん……」
彼女が俺の名前を小さく呼んだ。
「何?」
「その、ありがと……」
「何が?」
「いや、その……さっきの話、いいんだよね?私が彼女になっちゃっても……」
そんな風に、おそるおそる尋ねる彼女に、
「ああ」
とだけ言葉を返す。
「良かったぁ……」
「でも、何で、“ありがとう”?」
今度は俺が尋ねると、
「え、だって……」
という言葉の後に、少し間をあけて、
「嬉しすぎるから……」
頬を赤らめて、俺から目線を少しだけ逸らして、彼女はそう言った。
彼女の言葉の一つ一つ。
行動の一つ一つに、また、惹かれていく自分に気がつく。
一年半も気付けなかった自分が不思議でならない位だ―…
ベランダから部屋へ戻ると直ぐに、
「じゃあ、そろそろ帰るね」
と、いう彼女の言葉。
その言葉を聞いた瞬間、俺は彼女の腕を掴むと、そのまま自分の身体に抱き寄せ、
「おみ……」
と、俺の名前を口にしようとした彼女の口唇にゆっくりと触れた。