不謹慎ラブソング
女子校に入れることにこだわったのは、父だった。

気の弱い私にとって、男と一緒に過ごすことは苦痛だろう。

そう言って、私を無理に受験させた。
 
本当は小学校の友人たちと別れたくないという気持ちが強く、何より女子しかいないという空間に酷く不安を感じた。
 
地下鉄の駅から降りて、家へと帰る途中、公立中学の制服を着て歩いている生徒たちを眺めて、羨ましく思っていた時期も長かった。
 
女子校に慣れたのは、中学二年に進級する頃だった。
 
その頃にはたくさん傷がついていて、手首には何重ものブレスレットを巻いていた。
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