不謹慎ラブソング
「ごめん、遅くなっちゃって」
 
待ち合わせをしていた友人たちは、全員でこちらへやって来た。

後ろの方からのろのろと歩いてきた亀井と木下は、楽しそうに借りてきたDVDについて話し合っていた。
 
「良いよ、全然待ってないから。」
 
一時間半も待っていたのに、私は明るい声で言ってしまった。
 
「えー。なら、あんまり急いで来なくても良かったかもね。」
 
そんな惚けたことを亀井が言った時は、一瞬だけ何か言いたくなってしまったけれど、私は笑顔を崩さなかった。
 
今日くらい、自然体で過ごしたい。

けれど、自然体で過ごしたら、友達を五人も一気に失ってしまう。

そんなの怖かった。
 
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