たとえ、これが恋だとしても~あなたとSweet sweets~
惟の言葉の意味が分からない亜紀は、そう呟くことしかできない。そんな彼女に、惟は穏やかな声で話し続ける。



「よく考えて。結婚って一種の契約だよ。そりゃ、お互いに愛情があるのにこしたことはない。でも、亜紀ちゃんは一條っていう家の人間だ。好きだっていうだけで相手を選ぶことはできない」


「そういうものなの?」


「うん。亜紀ちゃんは認めたくないだろうし、認めることはできないだろうけどね。でも、そういうものなの。そして、亜紀ちゃんが今いるこの場所は、華やかなことも多いよね。ついでに、そういう公式の場では、間違いなくパートナーが必要になる」



こういう話は、抱きしめられた状態で聞かされるものなのだろうか。そんな思いが亜紀の中に浮かんでこないでもない。だが、どうやら惟が彼女を解放するつもりは毛頭ないようにも思われる。

となると、抵抗するだけ無駄なのではないだろうか。そんな、ある意味での悟りのようなものを開いた彼女は、話に耳を傾けるだけ。とはいっても、疑問も浮かんでくるのは仕方がない。彼女は惟が口を止めた隙に、その思いを言葉にしていた。



「パートナーが必要っていうのは分かります。でも、それならもっと年の近い、綺麗な人の方がいいでしょう? 私、まだ高校生だし、そんなに綺麗じゃないし……」


「亜紀ちゃん、自分のこと分かってるの? 君はそこらの女よりも絶対に綺麗だよ。だから、そんな君の隣を狙っているヤツなんて、掃いて捨てるほどいる。そんな奴らが皆、良識をわきまえていれば問題はない。でも、中にはアホなヤツもいるからね。僕がパートナーとして契約しようっていうのは、そんな奴らから亜紀ちゃんを守りたいから」

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